同じ価値観でつながるブランドの作り方、伝え方

Mitosayaに関わる人々のオシャレで素敵なライフスタイルは、どんな思考と行動の上になりたつのか。
働くこと、暮らすこと、生きることの境界線が曖昧。すべてに一貫した世界観があって、自分の世界を自分の好きなもので満たすこと、同じ価値観の人々とつながること、そうして拡がっていく世界の在り方を伝えたかった。
あの場所や商品に対しておしゃれ、素敵、って感想を持つ人は多いかもしれないけれど、彼らの「生き方」自体が根底にある。
彼らの歩んできたこれまでと、思い描いている未来があってこそ、そこに存在する世界観。うわべだけオシャレ、とかじゃなくてもっと深いもの。あんなふうに生きていけたらいいなと私が感じた感動を伝えたかった。
参考:「生き方を、デザインする。mitosaya 薬草園蒸留所 Open Dayで見えた世界」
世界観はコピー&ペーストできない

「おしゃれで、素敵」。
そう思ってもらえるようなウェブサイトを作りたいと考える人は多いと思います。インスタグラムで自分独自の世界観を伝えていきたいと考える人だってきっと多いことでしょう。
「おしゃれで素敵な、そんなブランドイメージを作っていきたい」
でもそれはあくまでイメージでしかなく、どこかの誰かが作った世界観をコピー&ペーストしたようなデザインや表現では、本当の意味で「おしゃれ」で「素敵」にはなりえません。
本当の順番は、きっと逆だと思うのです。
「生き方を、デザインする。mitosaya 薬草園蒸留所 Open Dayで見えた世界」を書いた時に私が意識したのは、「mitosaya 薬草園蒸留所」さんが歩んできたこれまでの過去と、描いている未来のこれから。
過去から未来、そして現在を伝える “ヒストリー” があってこそ「ブランド」は意味を持ち、だからこそ本質を伝えようとしたときに感動が生まれ、結果として「おしゃれで、素敵」という気持ちを抱かせるのではないでしょうか。
世界観はコピー&ペーストできない。
うわべだけで繕った世界観では、同じ価値観を持つ人たち同士でつながれるようなブランドに育つはずがないのです。まず最初に考えるべきは、ブランディング(伝え方)ではなく、プロデュース(何を作るか)。
そんなお話を、これからしていきたいと思います。
ブランドをプロデュースする

ブランドやファッションをプロデュースする、というような表現をすると「色や形、デザイン」などの造形を意識するかもしれませんが、私がここでいうプロデュースとは「生き方」を指します。
どんな生き方をするのか。それが文化として事業の全体に行きわたり、商品の一つひとつに表れます。
目にするモノ、道具、空間がおしゃれなのだとしたら、それは「生き方」がすでにそうであるからそうなのだ、というのが正しいと思うのです。何を大切に、何にこだわってきたのか? その一つひとつの選択と決断が、小さなひとつ一つに意味を与え、存在感としてブランドに影響します。
ブランドとは、その商品やサービスを利用することによってお客様の中に生まれる感動であり、そこに付与される信用や信頼です。
そしてそれが起こりうるのは、商品の作り手の一人ひとりが大切にしている価値観であり、選択と決断によって形成された文化が、商品の一つひとつに宿っているからではないでしょうか。
だからこそ、「素敵で、おしゃれ」と思われるようなブランドイメージを描いてもらいたいと思うのであれば、デザインや文章での表現にこだわるその前に、自分自身または会社組織の中の「生き方」をプロデュースするところから始めなくてはなりません。
「生き方」をプロデュースするこの一歩目があって初めて、ブランディングへと移行し、同じ価値観の人たちとつながれるような世界観をもつブランドの形成へと進むことができると思うのです。
ブランディング≠ブランドジャーナリズムという考え方

「ブランディング」というのは、見込み客や潜在顧客層に対して「イメージ」を持ってもらうための行為です。実体がどうであるかは別にして、伝え方の工夫によって頭の中のイメージは勝手に作られていきます。
一方で「ブランドジャーナリズム」というのは、すでにある「実体」を通してあるがままの事実を読者や視聴者に伝えるか、もしくは複数の視点から独自の解釈を生みだすことにより新しい見方を創造するという、まさしくジャーナリストの行いがそこにあります。
働くこと、暮らすこと、生きることの境界線が曖昧。すべてに一貫した世界観があって、自分の世界を自分の好きなもので満たすこと、同じ価値観の人々とつながること、そうして拡がっていく世界の在り方。
そのベースとなる大前提があるからこそ、その表現した先にはブランドが生まれ、同じ価値観を持つ人々とつながれるような世界をつくりあげ、やがてそれは確かな世界観として確立していきます。
ブランドの作り方や伝え方も、原点にあるのは「生き方」のプロデュースであり、そのあるがままを伝えるからこそ「同じ価値観を持つ人々とつながれるブランド」へとつながっていくのだと思います。
そのためにまずできることは、うわべだけをおしゃれで素敵なデザインや表現で埋め尽くすのではなく、
「自分の世界を、自分で好きなもので満たす」
という、小さな一歩目であっても私は良いと考えています。
それなくして、どんなブランドもどんな世界観も、この世界に描かれていくことはないからです。