ブランドコンセプトの作り方

コラム

「ハイブランドジュエリーが好きなの」

そんな風に伝えると「すごく意外!」と驚かれたりします。

私が撮る写真と、ハイブランドジュエリーとの間に、共通点が見つけにくいからかもしれません。ですが私の中では自然なことなんです。

『ブランドコンセプト』があるという点で、確かな共通点がそこにはあるのです。

ブランドとは何か?

「世界観の共有」

私はブランドの定義は何かと聞かれた時に、そのように答えることが増えました。

たとえば冒頭にお伝えした「ハイジュエリーブランド」ですが、高級品かどうかはいったん横に置き、次のように考えてみてください。

「それを身につけることによって、ハイジュエリーブランドの世界観を共有することができるかどうか?」と。

私はその世界観を受けとり、共有できているイメージがはっきりと浮かびます。なので、

「ブランド価値がある、とはどういうことですか?」ともし質問されたとしたら私はこう答えます。

「信念を貫いてきた、その世界を創造してきた歴史(積み重ね)があるかどうかです」と。

ブランドコンセプトとは?

さて今日の表題にある『ブランドコンセプト』なのですが、ブランドの定義はできたとして、では“コンセプト”とは一体なんでしょうか?

通念概念として、「全体を貫く視点や発想」という認識が一般的ではないでしょうか。

そうするとブランドコンセプトとは、「世界観の共有に必要な、全体を貫く視点や発想」ということになります。

そのための在り方として、

  1. 価値観がわかった
  2. 価値観を表現できた

という二段構成は、これからブランドコンセプトを作り築きあげていこうと考える人によってはとても大切なことだと私は考えています。

例えば次の写真を見てみてください。

こちらの男性は、「強み」「居場所」「つながり」というキーワードを持って活動をしているとのことでした。

それを言葉として認識はしているものの、写真やデザインにそのキーワードを意図的にコントロールして反映することができていないとのことでした。

しかし私はこの写真から、“つながり” の前の「個」の強さであったり、ナチュラルな立ち振る舞いから“居場所” を表現をしているように感じました。

彼は言葉でコンセプトを自覚しているものの、写真表現については無意識でそれを実践しているということになります。

結果としてこのように表現できているのであれば結果オーライなのですが、もしも意図的にブランドコンセプトを通わせたいと考えるのであれば、

  • 言葉
  • ビジュアル

の両方からブランドコンセプトをアウトプットできるようになると、何か違和感があった時に修正することもスムーズになります。

この男性が「強みを活かせる場所からつながりを広げる」を言葉としてのコンセプトとして持っているように、私も「豊かで満ち足りた毎日を」という言葉にすべての表現を集約させています。

『ブランドコンセプト』を持つためにまず、自分が大事にしている価値観を定めるところから始めることが非常に大切になるわけです。

野菜の作り手の想いを語ってくれたフレンチシェフ

芝浦にあるフランス料理店、マンションの一室。

そこでは「また来たい、また共有させてほしい」と思えるブランドコンセプトを持つシェフがフレンチを提供してくれました。

そこで使われている野菜は、ある若い女性がとても想いを込めて作ったものだというのです。

ひとつ、知らない人には出荷しない。

ひとつ、どういう風にして、どんな人に届くのかまで責任を持つ。

ひとつ、「シェフに会いたい人!」と野菜に投げかけて、目があった子だけを摘み、出荷する。

そんな信念を掲げ野菜を育てている女性の気持ちを確かに受け取り、「その食材を活かしきる」という強い覚悟の元、そのフランス料理店ではシェフが腕をふるってくださっているのです。

私は思わず聞いてしまいました。「怖くなったりしませんか?」

シェフの料理に対する真っ直ぐすぎるほどの情熱と、自分自身に求めるクオリティの高さ。食材とともにそれだけの想いを受け止めること、それを活かしきること。届いた食材を使って、お客様に対面した時の感覚を元にその場で調理法を決めて仕上げる、一発勝負の緊張感。

私だったら怖くなる。そう感じたのです。

シェフは、昔は怖かった。でも今は、それが自分のミッションであり、やりきると決めていると話してくれました。そして、そういう自分自身であることこそが、自分が提供できる価値なのだと。

そこにある人生、生き方の深さが、ブランドにストーリーを与え、ブランドコンセプトをより確かなものにしていると感じました。

そして、シェフの言葉を聞いたとき、思えば私もジュエリー職人として駆け出しの頃は、例えばリフォームのご依頼をいただいたときはお客様が大切に大切に扱ってきた宝石を触るのも怖かったし、「想いをカタチにする」というコンセプトでオーダーメイドのジュエリーを作ってきたので、お客様の想いを本当に汲み取れているのか、それをカタチにできているのか、完成したジュエリーをお客様にお渡ししてその反応を目の当たりにする瞬間まで、ずっと不安だったことを思い出しました。

経験を積み重ね、自分の技術を見極めることができるようになっていくに従って、いつしかその「怖さ」は和らいでいき、私もそのようにして

大切にされてきたものを、大切にまた次へつなげていく

という循環の一部を担う自分という存在に、誇りを持っていることにハタと思い至ったのです。

そのフランス料理店のシェフの信念は、素材の良さをそのまま活かすということ。想いを受け取り、繋げていくということ。お客側にしてみれば、その循環のサイクルの一部になるという体験ができるということにもなります。

大切にされたものをいただくということは、それを口にする自分にも価値があると思えるような、そんな体験があのお店にはありました。

芝浦にある、とあるフランス料理店。

私は、「大切なものをつないでいく」「自分自身であることを大切にする」というブランドコンセプトをそのお店に感じました。

料理を提供するスタイル、お客さんとのコミュニケーションも含めて、ただ料理を味わってもらうためだけではなく、自分の大切なものが分かっていて、それを価値あるものとして受け取ってくれるところへつないでいくために、あのお店は存在する。

そんな一貫性こそがブランドコンセプトへと通じていくのだと思います。

ブランドコンセプトの作り方

ここまでの内容を読み、自分でもブランドコンセプトを持ちたいと思ってくださる方がいたら嬉しいなと思います。

ここからは少しだけ、ブランドコンセプトの作り方をお伝えしたいと思います。基本的なステップは次の3つです。

  1. 自分の価値観を突き詰める
  2. 広いテーマを短い言葉にする
  3. 伝えるために表現する

①自分の価値観を突き詰める

自分の世界の核となるもの、自分が大切にしているものに気づくために、日々の暮らしから「価値観」を発見していきます。

生きていくことは自己表現。起きて何をする? 今日はどんな服を着てどこへ行く?何を食べる?お店で何を買う?どんな一日を過ごす?
意識的にしろ、無意識にしろ、全ては自分自身の選択の上で成り立っている。小さなものから大きなものまで、ひとつひとつ選び取った結果が今の暮らしにつながっています。

自分の選択基準を見る。行動と日々の暮らしの紐づきを発見する。短い言葉でキーワード、キーフレーズとして持っておく。

これがステップ1です。

②広いテーマを短い言葉にする

キーワードの単語を、短い言葉にまとめることをお勧めします。

私の場合は、「豊かで満ち足りた毎日を」がブランドコンセプトであり、 うみ出すジュエリー、撮る写真、紡ぐ言葉、 すべての表現をそこへ集約しているわけです。

なぜそうするのかというか、頭の中のイメージは共有できないけれど、「言葉」は共有できるからです。

ウェブデザイナーさんたちもデザインのラフ絵を描く前段階で、ミッションやビジョン、商品やサービスの魅力を「言葉」にまとめ、そこからそれを表現するためのビジュアライゼーションを行ったりします。

「視覚的な写真やイラストなどの情報」も必要ですが、より深く自分の中に浸透させ、共有するためには「言葉(言語)」も必要。
言葉として定義されたコンセプトは明確で揺るがないので、迷ったときの指針にすることができます。

これらはどちらか一方ではなく、2つセットで持っておくことが大切です。

③伝えるために表現する!

言葉にできたあとは、それをどう表現すれば伝わるかを考えましょう。

表現方法は無数にあります。
材料、素材、作り方、商品、パッケージ、販売方法、販売・体験する空間、接客…そのすべてに至るまで、自分自身の表現なのだという意識を持つことが重要ですが、ここでは「知ってもらうための手段」としての視覚的な魅せ方についてお話していきます。

伝えたいイメージをつくり上げるには「引き出し」が必要です。なのでまずは意識的にINPUTすることが大切です。

私の主宰するオンラインサロンでは、心に響いた写真を撮る→何を感じた、想い描いたかの感覚を言葉にして把握する、というプロセスを実践してもらっています。

「何がよかったのか?」「何を感じたのか?」を、一度言葉として落とし込むことで、後でその感覚を引っ張り出してくることができる状態を作るためです。

例えば「強さ」を表現したいと思ったとき、自分自身が過去にどんなものを見て、どんな状況で「強さ」を感じたのかを思い出すことで、表現のヒントが見つかるはずです。

そして、引き出せる材料が多ければ、それだけアイデアの幅も広がります。

「強さ」と言っても表現方法は様々で、いろんな意味の「強さ」がありますよね。

静かに、凛と佇むような強さ
周りを巻き込んで走り抜けていくような強さ
滑らかでしなやかな強さ

そうして思い描いたイメージを、先ほど言葉にしたコンセプトと照らし合わせて、コンセプトに合った「強さ」の魅せ方を見つけ出していくのです。

ブランド価値を上げるための方法

最後に、どうすればブランドコンセプトを貫き、ブランドの価値として高めていけるのかというお話をしたいと思います。

とはいえ、実はその答えはかんたん、シンプルです。

  • 自分の想いを明確にすること
  • 維持することを継続すること
  • 自分の価値観を貫くこと

たったこれだけです。

その瞬間に生まれる価値というものも当然ありますが、積み重ねてきたものの価値は重い(と個人的には思うのです)。

ただし、軸になる部分は貫いたまま、表面的なところは時代に合わせてどんどん変えていく必要もある。

変えないのは「そもそもの価値観」。

自分が大切だと思うもの。選択基準になっているもの。そこから世界が広がっていく「核」となるもの。

これらを大切にすることで、あなたの届けるブランド価値というものは、おのずと高まっていくのではと私は考えています。

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ハウツーメディア「ライフスタイルの伝え方」編集室です。専任ライターと代表Shihoko による共同制作記事を毎月お届けいたします。

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